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日本地震工学会論文集
Vol. 16 (2016) No. 4 特集号「2011年東北地方太平洋沖地震の地震動と地盤」 p. 4_12-4_21

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http://doi.org/10.5610/jaee.16.4_12

総説

2011年東北地方太平洋沖地震では、遠地地震波形・強震波形・測地・津波等の稠密な公開観測記録に基づき、多数の震源解析結果が提示された。本稿では、強震記録を用いて推定された震源モデルを対象に、共通点と相違点に着目して概説する。周期約10秒以上の長周期帯域で解かれた震源インバージョン結果からは、震源付近および海溝軸付近に大すべり域が推定された。一方、周期約10秒以下の短周期帯域を説明する強震動生成域や強震動パルス生成域は、震源付近および陸域側に大きな応力降下を伴う領域が複数推定され、宮城県沖では大すべり域と一部重なるものの、福島県沖や茨城県沖では相補的な関係となった。また、強震記録を用いたバックプロジェクション、アレイ解析、エンベロープインバージョンや震度インバージョンによる震源解析結果は、長周期帯域や短周期帯域を説明する震源モデルの特徴と概ね調和的であった。なお、2011年東北地方太平洋沖地震は、2010年チリMaule地震と同様、M9クラスの長周期震源とM8クラスの短周期震源の組み合わせと解釈することも可能である。ただし、断層傾斜方向に複雑な破壊進展を呈し、同じ場所が複数回すべる等の新たな知見が得られ、地震の震源の多様性が認識された。なお、強震記録による海溝軸付近の震源分解能は決して高くなく、今後の海域観測が期待される。

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