2019 年 19 巻 1 号 p. 1_53-1_67
2011年東北地方太平洋沖地震の建物と地盤の観測結果に基づいて地盤が液状化したと考えられる記録とその前後および約1年後の記録を用いて建物と地盤の応答特性への液状化の影響を考察した.地盤と建物のスペクトル比を用いて,前震,本震,最大余震,その後の余震および1年後の観測記録により地盤の液状化の状況及び連成系卓越振動数の変化について検討した.本震及び最大余震時に連成系卓越振動数が低下し,最大余震以降の連成系卓越振動数は前震とほぼ同様な値に戻っていた.その結果,本震時の主要動部分で液状化が発生し,最大余震時の観測開始時刻ではまだ過剰間隙水圧が十分消散していなかったと推定された.