2022 年 22 巻 1 号 p. 1_36-1_49
本研究はリアルタイム震度の立ち上がり部分の時系列を簡易的に予測・再現するための手法を提案するものである.まず立ち上がり部分の特徴的な時間としてP波到達からリアルタイム震度最大値の95%に達するまでの時間に着目し,それを震源距離やモーメントマグニチュード,震源深さ,30 m平均S波速度,S波速度1400 m/s層の上端深さと紐づけた予測式を,計41地震の強震記録に基づく回帰分析によって作成した.さらに立ち上がり部分の時系列形状を再現するために,P波到達からリアルタイム震度最大値に達するまでの時系列を対数関数で表現した近似関数を考案した.これら2つを組み合わせることで,任意の地点でのリアルタイム震度の立ち上がり部分を簡易的に予測・再現することが可能となる.この提案手法を実記録で検証し,その有効性および限界を調べた.