経済地理学年報
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大会報告論文
産業立地と都市再開発からみた東京の変貌
近藤 章夫
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2017 年 63 巻 4 号 p. 304-319

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抄録

    本稿では,世界都市東京論の再考というシンポジウムテーマを鑑みて,これまで東京の基盤産業として強調されてきた製造業に焦点をあて,製造業の動向と昨今の都市再開発との関連性を考察した.その要点は以下の2点にまとめられる.第1に,世界都市論のキーワードである拠点性や中心性について,階層的立地モデルにもとづく所得の地域間移転の分析を行った結果,東京への所得の還流が弱まっていることが傍証され,本社の生産額も東京の拠点性や中心性の低下を示していた.第2 に,京浜地域の大規模主力工場において特に電気機械で立地調整が進んでおり,事業再構築のもと集約化や機能転換が数多くみられた.工場閉鎖にともなう跡地利用では,大規模な商業施設や住宅地へと転用されるなど,製造業の減退による立地調整の進展は工業地域の用途転換とつながっており,都市再開発の影響を受けている.

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© 2017 経済地理学会
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