本報告の目的は,かつての金属部品加工という事業から,如何にして医療機器を開発生産する事業へと転換できたのか,そのプロセスを具体的に紹介し,イノベーションの重要性を,栃木県鹿沼市に立地する(株)スズキプレシオンの例で示すことにある.2000年代初めから経営革新に取り組み,薬事法の改定に着目して2005年頃から医療機器の開発生産に取り組んだ.他の金属加工企業との差別化を図るためである.その開発過程で,医療機器を生産できる高度な工具であるスピンドルも自社開発した.リーマンショックを乗り越え,アメリカでの展示会でも積極的に展示し,顧客を内外に増やしてきている.