経済地理学年報
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特集論文
持続可能な観光のための「プラス・トーキョー」戦略
―2020東京五輪を契機とする新しい観光流動創出の政策―
太下 義之
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2020 年 66 巻 1 号 p. 136-152

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抄録

    ロンドン五輪の際,「ロンドン・プラス( London Plus)」という観光キャンペーンが実施された.これは,海外からの観光客がロンドンに滞在するだけでなく,1~2都市プラスして,他の都市にも足を延ばしてもらおうという観光キャンペーンであった.
    ただし日本では,従来の通り首都圏空港から入国し,いわゆるゴールデン・ルートを旅行するという形だけでは,受け入れ容量の限界に達しつつある.
    試算では,政府目標の「6,000万人」を達成するためには,主要7 空港における国際線の増便に関しては現在の構想がすべて実現することが絶対に必要であり,かつ,地方空港に関しては,主要空港並みではなく,楽観的な前提での試算でも6倍以上,より保守的な前提での試算では10倍以上に外国人数を入国させないと,政府の目標は達成できないことが明らかとなった.
    すなわち,地方都市に訪日外国人を直接誘導したうえ,必要があれば東京にも足を延ばしてもらう,という「プラス・トーキョー」が,日本が目指すべき戦略である.
    そして,「プラス・トーキョー」戦略を地方都市で展開する際,滞在する観光客を惹きつける要素として,食文化をはじめとする「文化プログラム」が大きな役割を果たすと期待される.

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