本研究では,ヴィリリオの「速度」,クレーリーの「知覚」とドゥボールの「スペクタクル」との交点を分析概念として援用しつつ,1924年に開催された第1回シャモニー・モンブラン冬季五輪から2018年開催の第23回平昌冬季五輪における男子4人乗りボブスレー競技とその空間の変容について考察を進めた.テクノロジーの進展とともにボブスレー競技が高速化することで,観る者の知覚が変容し,スペクタクル化が生まれる.それらの相互作用がさらなる高速化と知覚の変容,スペクタクル化を生み,結果としてこの競技の熱狂を下支えしていることを跡付けた.