抄録
本研究の目的は,教育実習における管理職が指導教員のどのような発達のプロセスを期待しているのかを明らかにすることである。発達のプロセスの始発点は指導教員の選定が含まれことから指導教員の選定も含めて検討を行った。管理職経験者8名に対して半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2020)を用いて分析を行った。管理職が期待する指導教員の発達のプロセスとして,24の概念,4のカテゴリー,5のサブカテゴリーが生成され,概念間及びカテゴリー間の関係が図にまとめられた。管理職は指導教員を間接的にサポートしつつ,教員としての器を大きくし,教師教育者の道に進み,ゆくゆくはミドルリーダーになる,という発達のプロセスを期待していることや学校経営者としての思惑も明らかになった。今後は,教育実習指導を指導教員の成長の場や授業力向上の好機ととらえ,教員研修の展開に寄与することが求められる。