2007 年 27 巻 1 号 p. 79-82
症例は47歳, 女性。突然の嘔吐と腹痛を認め, コーヒー残渣様嘔吐が出現したため, 当院救命センターに搬入された。初診時, 腹部膨瘤が著名であったが, 腹膜刺激症状は軽度であった。しかし, WBC22,700/mm3, pH7.152, BE-18.5mEq/l と著名なアシドーシスを認め, 入院10時間後に絞扼性イレウスの診断で緊急手術となった。手術所見では横行結腸が著名に拡張し, 肝彎曲部から下行結腸中央部にかけ壊死に陥っており, 境界部は暗紫色調で斑にみられたが, 中結腸動脈の拍動は触知した。病理組織所見では, 血管にはアテローム変性や血栓はなく, 非閉塞性腸間膜虚血症 (NOMI) と診断した。術後1年, 人工肛門閉鎖を行い, その際に回盲部温存に伴う吻合部の捻じれを回避するためLadd氏手術を参考に腸管をnonrotationの状態にして盲腸S状結腸吻合を行った。術後は経過順調で, 良好なQOLが得られている。