日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
幼少時から腹部症状をみとめた中腸軸捻転症の1例
楠田 慎一福島 正之北原 光太郎
著者情報
キーワード: 中腸軸捻転症, 成人, Ladd手術
ジャーナル フリー

2007 年 27 巻 1 号 p. 91-93

詳細
抄録

症例は17歳, 男性。幼少時より腹痛, 嘔吐などの腹部症状を年に数回程度訴え, その度に近医受診を繰り返していた。しかし原因は特定できず, 思春期には心療内科を受診していた。2005年4月夕方より急に腹痛, 嘔吐を訴え, 当院救急外来を受診した。腹部CTにて上腸間膜動脈 (SMA) が渦巻き状に走行する所見が見られたため腸軸捻転症と診断し同日開腹手術施行した。手術所見は, 盲腸と上行結腸が後腹膜に固定されていないnonrotation型の腸回転異常であった。Treitz靱帯は形成しておらず, 空腸起始部にLadd靱帯が見られ, これを軸に空腸が捻転を起こしていた。手術は捻転を解除後, Ladd手術を行った。その後腹部症状は改善し, その後も再燃は認めていない。

著者関連情報
© 2007 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top