日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
気腫性胆嚢炎への移行を発症後早期に診断し良好な経過を得ることができた無石胆嚢炎の1切除例
中山 智英伊藤 清高竹本 法弘鈴木 雅行
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2008 年 28 巻 4 号 p. 621-624

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抄録
86歳の男性。2007年6月,発熱・腹痛を主訴に当院救急外来を受診。上腹部中心の圧痛,Murphy's signを認め,腹部エコーおよび腹部CTで最大径が8cmに腫大した胆嚢が確認された。胆石は認めず,急性無石胆嚢炎の診断で入院となった。翌日,腹部症状は改善せず,再検した腹部エコーおよび腹部CTで,胆嚢周囲および胆嚢内の気腫像を認め,急性気腫性胆嚢炎の診断でただちに開腹胆嚢摘出術を施行した。術後病理検査でも,壊死した胆嚢壁の粘膜下に空胞を伴う気腫性胆嚢炎の所見であった。術後経過は良好で,術後10日目に退院した。無石胆嚢炎は通常の胆石胆嚢炎と比較し,気腫性胆嚢炎への移行や壊死・穿孔の確率が高く重症化しやすい疾患である。急性無石胆嚢炎に対しては,発症早期から症状の変化はもとより,画像検査を繰り返し行い,気腫性変化を見逃さずに診断・外科的治療を確実に行うことが重要と考え,本症例を報告する。
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© 2008 日本腹部救急医学会
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