日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
特発性大網血腫の1例
村上 慶洋山本 和幸小出 亨村川 力彦北上 英彦
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2008 年 28 巻 5 号 p. 693-696

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抄録

症例は17歳,女性。右下腹部痛を主訴に当科を受診した。右下腹部に圧痛および筋性防御を認めた。腹部CT検査にて右下腹部に径1cmの管腔構造および周囲脂肪織の濃度上昇を認め,急性虫垂炎を強く疑ったが,確定診断はつかず,診断と治療をかねて腹腔鏡下手術を施行した。右下腹部に大網に発生したと思われる大きさ約2cmの血腫様の腫瘤を認め,一部が腹壁に癒着していた。大網を一部含め腹腔鏡下に切除術を施行した。術後経過は順調で,術後4日目に退院となった。病理組織学的検査では血腫と線維増生を伴う炎症所見および壊死脂肪組織であり,腫瘍性病変等を認めなかった。腹部外傷の既往,抗凝固療法,血管性疾患の既往等なく,特発性大網血腫と診断した。特発性大網血腫は比較的まれな疾患であり,腹腔鏡下手術を施行した報告例は過去に1例のみであるため,若干の文献的考察を加え報告する。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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