日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:腹部実質臓器損傷の治療戦略―手術か,IVRか,保存的治療か,私はこうして決めている―
重症肝損傷に対する系統的治療戦略の組み立て
川元 俊二稲田 一雄永尾 修二金丸 隆幸児玉 利勝落合 亮二柴田 亮輔石井 泰福永 昌彦永田 寿礼内田 清久
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2008 年 28 巻 6 号 p. 783-790

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抄録

重症肝損傷,とりわけnon responderに対する治療体系を,Damage controlに基づいた初期治療(UM)と肝関連遅発性合併症に対する十分な管理と計画的治療(PM)として位置付け,1996年より行ってきた。当院の治療戦略の特徴はnon responderに対して,肝動脈塞栓術を適応拡大して行っている点と,肝壊死,胆汁性腹膜炎などの遅発性合併症に対する厳密なモニタリングと計画的治療の実践である。IIIb(+HV)型に対するUAEの救命率は91.3%(21/23)で,non responderに対するUAEの救命率は84.6%(11/13)だった。遅発性合併症による死亡はなく,待機的肝切除を含めたPMは初期治療の臨床的意義を高め,成績向上に寄与すると思われる。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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