日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腰椎麻酔下に経肛門的摘出した直腸内異物の2例
金谷 欣明橋田 真輔藤井 徹也丸山 修一郎横山 伸二
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2008 年 28 巻 7 号 p. 947-951

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抄録

経肛門的直腸内異物は比較的まれな疾患であり,異常な自慰行為のエスカレート等により突発的に生じることが多い。今回われわれは中高年男性に発生した経肛門的直腸内異物の2例を経験したので報告する。症例1は71歳の男性,すりこぎ様の太い木製の棒を自ら肛門より挿入し,抜去不能となり当院の受診となった。外来での抜去は困難で,腰椎麻酔下にこれを用手経肛門的に摘出した。症例2は55歳の男性,空のジュース缶を自ら肛門より挿入し排出困難となり,近医で経肛門的摘出を試みられたが成功せず,当院の救急外来を紹介となる。症例1同様,腰椎麻酔下に用手経肛門的に摘出した。いずれも外来での摘出は疼痛や腸管浮腫のため困難であったが,腰椎麻酔下では肛門括約筋の弛緩も得られ,用手経肛門的に摘出可能であり無麻酔下に摘出困難な場合,試みられるべき有効な治療法の一つと思われた。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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