2008 年 28 巻 7 号 p. 953-955
症例は90歳の男性。腹痛と腹部膨満感を主訴に近医を受診した。腹部CT検査で上腹部を中心とした腹腔内遊離ガス像を認めた。さらに腸間膜の渦巻き状回転像と,小腸の壁内および腸間膜内にガス像を認めた。以上から絞扼性イレウスによる消化管穿孔および腸管気腫症と診断し手術を施行した。索状物で形成された間隙内に,小腸が捻転した状態で陥入していたが,腸管の循環障害は認めなかったので索状物を切除し,腸管を整復した。内ヘルニアに起因して発症した腸管気腫症の報告はわれわれが検索した限りでは認めず,極めてまれと思われたので文献的考察を加えて報告する。