2008 年 28 巻 7 号 p. 957-960
症例は56歳男性。腹痛にて当院救急外来を訪れ待合室で待機中にショック状態となった。精査にて中結腸動脈瘤の破裂に伴う後腹膜および腸間膜内出血による出血性ショックと診断し緊急開腹手術を施行した。開腹すると中結腸動脈の壁に亀裂が存在し,同部位より腸間膜内に活動性の出血が認められたため亀裂部を縫合止血した。回復後の問診で約2週間前に腹部を打撲していたことが判明した。鈍的腹部外傷における血管損傷では,遅発性に症状が出現することがあることを念頭に置き診療にあたる必要がある。