2008 年 28 巻 7 号 p. 961-964
症例は32歳女性。自然消退を繰り返す下腹部痛にて当院救急外来を受診した。腹部CTでは骨盤内に12cm×10cmの腫瘤を認め,腸間膜の捻転像が疑われた。MDCTではCTの所見に加えて,SMAを軸として腸間膜血管の回転像が明瞭に描出された。小腸腫瘍による軸捻転症と診断し手術を施行した。術中所見は空腸間膜側に腫瘍を認め,SMAを軸として時計回りに腸間膜が360度捻転していた。病理組織診断は小腸GIST,c-kit陽性,核分裂数7/50HPFであった。小腸GISTによる軸捻転症は極めてまれであり,本例ではMDCTにより特徴的な捻転像が得られ術前診断に有用であった。