日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
原著
実用に耐えうる急性虫垂炎診断スコアは作成できるか?
法水 信治長谷川 洋坂本 英至小松 俊一郎久留宮 康浩高山 祐一西前 香寿広瀬 友昭
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2010 年 30 巻 5 号 p. 621-626

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抄録

急性虫垂炎を疑う腹痛のため入院治療を要した561名の患者を対象にprospectiveに検討した。病歴・理学所見・白血球増多・CT所見について,感度・特異度を解析した。またこれらの項目について多変量解析を行った結果,年齢・CT所見の虫垂腫大・糞石・虫垂周囲の炎症所見・陰性所見として上行結腸周囲の炎症の5項目が急性虫垂炎診断の関連因子として抽出された。その結果に基づいて,蜂窩織炎性・壊疽性虫垂炎のみを手術適応と判断するための診断スコア作成を試みた。感度,特異度は77.2%,75.6%であった。実際の総合診断では感度,特異度は88.6%,88.7%であり,スコアによる結果を10%程度上回っていた。この差は外科医の臨床経験に基づく総合的判断力に相当すると考えられ,統計解析による診断スコアでは補えない部分と考えられた。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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