日本腹部救急医学会雑誌
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特集:Oncologic emergencyの診断と治療2
大腸癌穿孔の治療方針
笠島 浩行遠山 茂横山 拓史加藤 雅志原 豊吉田 淳津田 一郎鈴木 伸作倉内 宣明木村 純
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キーワード: 大腸癌, 大腸穿孔, 合併症, 予後
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2010 年 30 巻 6 号 p. 787-791

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抄録

大腸癌穿孔は敗血症など合併からの生命危機とともに,癌の長期予後への影響が懸念される。1995年~2008年に当院で手術した大腸癌穿孔45例を対象に臨床病理学的事項,術後短期成績,予後を腫瘍占拠部位でA群(C~D:18例)とB群(S~Ra:27例)に分けて検討した。男30例,女15例で,平均69.7歳(45~94歳)。部位はS状結腸(51.1%)に多く,穿孔部位は口側14例,腫瘍部31例で,遊離穿孔は28例(62.2%)であった。在院死亡例は術前白血球数が4,000未満。44例(97.8%)で腫瘍切除,A群2例,B群18例にHartmann手術が行われた。縫合不全はB群3例にみられた。周術期死亡率は8.9%,3例がDIC死であった。組織学的進行度はstage IIが最多(53.3%)で5年生存率72%であった。大腸癌穿孔であっても治癒切除例は長期予後を期待できる可能性があり,患者の状態が許せば根治手術を目指すべきと考える。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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