日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
糞石のCT値と超音波像を比較検討した小児急性虫垂炎7例
藤井 喜充
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2010 年 30 巻 6 号 p. 827-830

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抄録

超音波検査では虫垂壁と比較して高エコーに描出されず糞石と認識できなかったが,CT検査で同定された小児急性虫垂炎症例を経験したので,CT値と超音波所見の関連を検討した。症例は7例で,結石のCT値は63.5H.U.から231.0H.U.の範囲であった。CT値147.4H.U.と231.0H.U.の2例が,5MHzを用いた超音波検査では等~低エコーで音響陰影陰性であったが,9MHzでは高エコーで音響陰影陽性であった。CT値63.5~108.5H.U.の3例は5MHzの超音波検査で,高エコーで音響陰影陽性の,糞石としての典型像を示した。超音波検査における糞石の描出に関しては,高周波を用いることが重要であると結論した。超音波検査で急性虫垂炎であると確定できない症例に限り,糞石,脂肪織の濃度上昇,腹水の存在も念頭において,軟部組織条件(ウインドウ幅250~300:ウインドウレベル+30)でのCT検査を施行するのが望ましいと考えられた。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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