日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術前CTにて診断できたWinslow孔ヘルニアの1例
長谷川 毅阿古 英次西村 重彦妙中 直之
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2010 年 31 巻 1 号 p. 123-126

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抄録

症例は45歳,女性。上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診し入院となった。術前CT検査にて門脈と下大静脈との間から網嚢へ陥入する腸管像を認め,Winslow孔ヘルニアと診断し,緊急手術となった。手術所見ではTreitz靱帯より約400cm肛門側の小腸がWinslow孔から網嚢内に約90cmにわたり陥入していた。Kocher授動を行い,用手的に整復は可能であった。しかし,陥入した小腸が壊死に陥っており,小腸部分切除を行った。Winslow孔の縫縮は行わなかった。上行結腸,下行結腸に固定異常を認めた。Winslow孔ヘルニアは内ヘルニアの約8%と比較的まれであり,本邦では自験例を含めて33例の報告がみられた。CTにて術前診断可能であったWinslow孔ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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