2010 年 31 巻 1 号 p. 37-41
鏡視下手術はさまざまな領域で応用され,小児外科領域においても多種多様な疾患で行われるようになってきた。しかし,腹部救急疾患に腹腔鏡を適応するにあたっては,操作可能範囲の特性と限界を十分に理解することが重要と考えられる。当科では2001年5月より鏡視下手術を取り入れ,種々の腹部救急疾患にも施行してきた。対象疾患は主に急性虫垂炎に関連するもので占められているが,他の原因による腹膜炎,腸重積症,卵巣腫瘍茎捻転,Meckel憩室炎の診断および治療目的にも施行している。腹部救急疾患においても鏡視下手術を積極的に導入可能と考えられるが,一方で手術困難であれば躊躇することなく開腹への移行を行うなどの柔軟な心構えが腹部救急疾患に適応する上で重要である。