2012 年 32 巻 1 号 p. 27-30
当院で経験した腹腔鏡下手術中の偶発症を検討し,その対処法を考察した。1993年9月から2009年12月までに1,912例の腹腔鏡下大腸切除術を施行し,開腹を要した術中偶発症発生率は2.0%(39/1.912)であった。腹腔鏡下手術では術式の定型化が重要であるが,当院において全ての腹腔鏡下大腸切除術が定型化した2006年以前の偶発症発生率は4.2%(30/722)であり定型化以降では0.8%(9/1,190)と有意に減少した。偶発症の内訳は出血17例,腸管切離・吻合関連19例,腸管損傷2例,腸管虚血1例であった。腹腔鏡下手術術中には手術関係者全員が同じ術野を共有できるため,術者は手術状況を解説しながら展開し,これを全員で確認しながら手術を進行することがエラー予防対策につながるものと考えられた。