2012 年 32 巻 1 号 p. 91-95
当院は緊急手術,人工呼吸器管理,急性血液浄化への対応可能な体制をとっている二次救急医療機関であるが,救命救急に直結する症例が当院へ救急搬入されることは少ない。しかし,腹部疾患に関して,二次救急として搬入された中に重篤な併存疾患が隠れていることがある。われわれは,肝硬変合併の情報がないままに夜間に救急搬入された消化性潰瘍穿孔の2症例を経験した。搬入時に安定した病態であっても,肝硬変症は腹膜炎を重症化しやすいため,早期の病態の把握と対応が必要である。このような症例に対する二次救急医療機関の現状につき報告する。