日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
原著
閉鎖孔ヘルニア14症例の検討
─診断と治療を中心に─
小倉 由起子山崎 一馬児玉 多曜近藤 悟
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 33 巻 7 号 p. 1093-1096

詳細
抄録

要旨:[目的]当院で経験した閉鎖孔ヘルニアについて検討した。[対象および方法]対象は過去12年間に手術を施行した14症例である。背景因子,症状,術前診断,手術方法,転帰などを検討した。[結果]全例女性,平均年齢は82.8歳で平均BMIは18.2kg/m2であった。主訴は腹痛・嘔吐が11例と多く,Howship-Romberg signは5例に認められた。腹部CT検査により12例で術前診断された。発症から手術までの期間は平均2.9日で,全例に緊急開腹手術が行われた。小腸非切除7例は平均1.1日,切除7例は平均4.7日であった。腸管穿孔例は3日以上経過していた。ヘルニア門の閉鎖は単純縫合閉鎖が6例,人工膜材使用が6例と多かった。術後経過では12例が治癒した。[結語]本症は高齢の女性に多く,診断には腹部CT検査が有用であつた。陥頓腸管の切除を回避するためには早期診断・早期治療が重要と考えられた。

著者関連情報
© 2013 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top