日本腹部救急医学会雑誌
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原著
大腸穿孔症例における術後リスク評価システムの有用性の検討
星野 剛石井 良幸長谷川 博俊遠藤 高志岡林 剛史落合 大樹茂田 浩平瀬尾 雄樹北川 雄光
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2013 年 33 巻 7 号 p. 1103-1108

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抄録

要旨:大腸穿孔症例に対して,重症度分類として用いられているAPACHEII,SOFA,POSSUM,MPIを用いて各重症度分類のスコアを算出し,患者の予後との関連について後方視的に統計学的検討を行った。2006年~2011年の大腸穿孔手術症例(54例)を対象とし,4つの重症度分類において全症例をスコア化したところ,すべての重症度分類で死亡群は生存群より有意にスコアは高かった。つぎに,Receiver Operating Characteristic (ROC) curveよりそれぞれの重症度分類のcut off値を求め,感度,特異度,正診率を算出したところ,感度はAPACHEIIが100%で最も高く,特異度および正診率はSOFAがそれぞれ90%,89%と最も高かった。以上より,APACHEIIとSOFAは大腸穿孔術後症例の予後予測の評価法として有用であると考えられた。特に既往歴が評価項目にないSOFAに関しては各施設間で患者の並存疾患にばらつきがあっても有用である可能性が示唆された。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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