2013 年 33 巻 7 号 p. 1111-1117
要旨:消化器外科領域の周術期VTE予防に対する認識は依然として低い。本邦における術後VTEの発生率は欧米のそれと比較し,ほぼ同等と考えられる。さらに,DVTからPEに進展すると致命的になり得る。そこで,術前リスク分類に応じた適切な予防法を講じる必要がある。われわれが日常的に治療をしている中高年者の消化器癌手術は,それだけで高リスク群に分類され,予防的抗凝固療法と理学療法の適応となるが,手術手技や併存疾患など,その他の背景因子を十分に考慮した予防法を選択すべきである。