日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡併用大腿法で修復した再発大腿ヘルニア嵌頓の1例
小久保 健太郎林 昌俊栃井 航也
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2013 年 33 巻 8 号 p. 1363-1365

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抄録

症例は83歳の女性で,1年前に左大腿ヘルニアに対し腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行されていた。2012年4月,左鼠径部の腫脹・疼痛を自覚した。来院時,左鼠径部が鶏卵大に腫大し,腹部CT検査で左大腿部に軟部組織陰影を認めたため再発左大腿ヘルニア嵌頓と診断し,腹腔鏡併用大腿法でヘルニア修復術を施行した。腹腔内を観察すると嵌頓は解除されていた。併存病変・対側病変のないことを確認した。次に大腿法で大腿輪から脱出したヘルニア囊を明らかにした。再度気腹し腸管性状を観察し,嵌頓していた腸管の色調が良好であったため腸切除は不要と考え,大腿部よりMesh PlugⓇを用いて修復した。術後経過は良好で第7病日に退院した。 大腿ヘルニア嵌頓に対する腹腔鏡併用大腿法は,嵌頓腸管の血流障害の有無を確認でき,鼠径管内容物を破壊することなくヘルニアの修復が可能で,腹腔鏡下手術後の再発症例に有用であると考えられた。

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© 2013, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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