2014 年 34 巻 6 号 p. 1101-1105
2006~2010年の5年間に当科で施行された直腸前方切除術症例で吻合再建法にdouble stapling techniqueを用いた176例を対象とし,術後縫合不全に対するわれわれのドレーン管理法の有効性についてretrospectiveに検討した。術後縫合不全は11例(6.3%)にみられたが,再手術が必要であった症例は6例(3.4%)であり,全例が高位前方切除術後であった。それらの症例には開腹洗浄ドレナージ手術が行われ,右下腹部にdiverting ileostomyが造設された。一方,低位前方切除術後の術後縫合不全症例5例ではドレーンによる保存的治療が有効であったため再手術に至った症例がみられなかった。術後縫合不全に付随する炎症および膿瘍の範囲が限局化する症例に対しては保存的治療が有効で,骨盤腔内にその範囲が限局する症例に対するわれわれのドレーン管理法の有効性が示唆された。