日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
鈍的腹部外傷後遅発性小腸狭窄の1手術例
富家 由美野村 尚弘長縄 郁絵三輪 高也
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2014 年 34 巻 6 号 p. 1201-1204

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抄録

症例は68歳女性。交通外傷による下腹部打撲で近医へ搬送。CTでは右腸骨骨折のみで腹腔内に異常所見を認めず,安静にして2週間で退院。しかし退院2週間後に下腹部痛再燃あり当院受診。CTで回腸末端の壁肥厚,腸間膜の浮腫状変化と口側小腸の拡張を認めた。絶食で一旦軽快するも,4ヵ月にわたり症状再燃,軽快を繰り返したため手術施行。回腸末端から20cmで小腸の発赤,狭窄と腸間膜の浮腫状変化を認め,口側小腸は拡張しており狭窄部位を含め小腸部分切除を施行した。病理検査では全周性の潰瘍形成を認め,粘膜下層の線維化,漿膜下層の浮腫状変化を認めた。腸間膜の損傷により腸管の循環障害が起こり,2次的に腸管の狭窄をきたしたと考えられ,外傷後の遅発性小腸狭窄と診断した。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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