2014 年 34 巻 6 号 p. 1233-1236
症例;41歳男性。慢性腎不全,腎性貧血(Hb 8.0 g/dL),糖尿病,高脂血症,高血圧症で他院へ通院中であり,週に3回の維持透析を受けていた。貧血の進行と黒色便を認めたため,上下部消化管内視鏡,CT等を繰り返し施行するも出血源は不明であった。また,鉄剤投与と頻回の輸血を受けていたが,貧血は改善しなかった。原因不明の消化管出血と診断され,精査加療目的で当院を紹介受診となった。小腸カプセル内視鏡で空腸に出血性の腫瘍性病変を認めた。さらに経口ダブルバルーン小腸内視鏡で上部空腸に2/3周性の2型進行癌を認め,生検では腺癌(低分化腺癌>>中分化腺癌)であった。原発性小腸癌の診断で,他院外科で空腸部分切除術を施行された。腫瘍は上部空腸に存在し,術後の病理組織診断では,2型の中分化管状腺癌であり,リンパ節転移はみられなかった。