日本腹部救急医学会雑誌
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原著
経肛門的減圧管より術前減圧処置を行った閉塞性大腸癌症例における術後腸管運動の評価
山岸 杏彌山田 岳史菅 隼人松本 智司小泉 岐博進士 誠一松田 明久原 敬介内田 英二
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1269-1273

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抄録

近年閉塞性大腸癌症例に緊急手術を行わず,減圧後に待機手術を行うことが多くなった。閉塞により消化管は浮腫をきたし消化管運動は低下するが,術前減圧によって消化管の浮腫および消化管運動が改善することが期待される。しかしこのような症例では,術前に減圧したとしても非閉塞症例と比較すれば消化管機能が低下している可能性がある。われわれは術前に減圧を行った閉塞性結腸癌症例(術前減圧群)と非イレウス症例(非閉塞群)の術後消化管(小腸)運動を比較した。術前減圧群17症例と同時期に待機手術を施行した非イレウス群83例を対象とし,術当日執刀前に放射線不透過マーカーを服用させ,術後1,3,5日に腹部単純X線写真を撮影し小腸内残存マーカー数を比較した。術前減圧群では非閉塞群と比較して術後1,3,5日目の小腸内残存マーカー数が有意に多かった。術前に減圧を行っても閉塞性大腸癌症例では,術後腸管運動麻痺が遷延する可能性がある。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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