日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
回盲部が嵌頓した左鼠径ヘルニアの1例
原田 和明高山 亘佐藤 護
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1325-1329

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抄録

症例は88歳,男性。腹部膨満を主訴に当院紹介となった。腹部は著明に膨満し,左陰囊は小児頭大に腫大していた。CT検査で左陰囊内には径90×70mmに拡張した腸管が認められ,イレウスの状態を呈していたが腸管虚血は認めなかった。用手還納を試みると陰囊腫大は軽度改善したが,完全な還納は不可能であった。翌日まで経過観察を行ったが,改善なく手術を施行した。脱出腸管は回盲部であり,腹腔内への還納は可能であった。後壁補強はParietex ProGripTMメッシュ(COVIDEN社)を用い,Lichtenstein法で行った。術後経過は良好であり,術後13日目に退院となった。回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの本邦報告例は自験例を含め39例で,左側の発症は5例目とまれな症例と考えられた。鼠径部から陰囊への膨隆が著明な症例では,回盲部嵌頓の可能性を考える必要があると思われた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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