日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
緊急手術により救命した傍十二指腸ヘルニアに伴う小腸軸捻転の1例
森 憲彦望月 能成平田 伸也中西 香企園原 史訓横山 裕之谷口 健次
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1353-1357

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抄録

症例は20歳,男性。前日より嘔吐を伴う腹痛があり,翌朝には鮮血便も出現,腹痛・嘔吐の増悪とともにショック状態となったため,当院へ救急搬送となった。搬送時,腹部は膨満,著明な腹膜刺激症状を認めた。単純CT検査では広範囲の小腸の拡張と多量の腹水貯留があり,絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した。術中所見では,傍十二指腸腹膜窩に空腸が嵌入していた。また,ヘルニア門を基点に,ヘルニア囊外で肛門側の小腸が軸捻転を起こし,約130cmにわたり虚血に陥っていた。イレウス解除後も腸管血流の改善はなく,小腸切除術およびヘルニア門閉鎖術を施行した。術後,麻痺性イレウスを合併したが,保存的加療により軽快し,第14病日に退院した。緊急手術により救命した傍十二指腸ヘルニアに伴う小腸軸捻転の1例を経験したので報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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