2015 年 35 巻 1 号 p. 043-045
目的:食道破裂・穿孔の適切な治療方針を検討すること。対象と方法:2004年7月から2013年6月に当科で診療した食道破裂・穿孔症例の特徴を検討した。結果:食道破裂・穿孔症例は10例であった。来院時ショック状態の3症例は下部食道の破裂で胸水貯留,白血球低下を伴い,2例にドレナージとステント挿入,1例にドレナージ後二期的経裂孔手術が施行された。非ショックの7症例では,胸水貯留が1例,白血球低下症例は認められず,4例に手術,3例に保存的加療がなされた。ショック群の在院日数が有意に長期であったが,在院死亡例はみられなかった。結論:来院時ショック状態の食道破裂症例に対しては,ドレナージを主体とし,ステント挿入も考慮した保存的治療を行い,手術は二期的に計画することが勧められる。