日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:食道破裂,穿孔の診断と治療における戦略と工夫
特発性食道破裂14例の検討─治療成績と術式の工夫─
小島 光暁加地 正人村田 希吉相星 淳一大友 康裕
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 35 巻 1 号 p. 047-053

詳細
抄録

特発性食道破裂は,発症24時間以上経過した後に治療を開始した遅延症例で予後が悪いとされており,適切な治療選択が重要である。【方法】当院に入院した特発性食道破裂症例を対象とし,臨床背景,治療方法,転帰等を後ろ向きに検討した。また,術式の工夫により良好な転帰を得た症例を提示する。【結果】対象症例は14例で,胸部下部食道左側壁の破裂が13例であった。発症から治療開始まで中央値は9.5時間で,24時間以上要した遅延症例は3例であった。全例胸腔内穿破型であり,緊急手術を施行した。在院日数の中央値は17.5日,2例で縫合不全を認めたが,全例生存退院した。【考察】遅延手術のうち,胃底部漿膜パッチ術を施行した症例は縫合不全なく転帰良好であった。また,縫合不全が遷延した症例の再手術においても同様に経過良好であった。【結語】胃底部漿膜パッチ術は,治療開始遅延症例に対する術式の選択肢となり得ると考えた。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top