2015 年 35 巻 1 号 p. 061-065
(目的)当科における食道破裂・穿孔症例の診断,治療と転帰を検討する。(対象)2003~2013年までの食道破裂・穿孔15例(特発性4例,医原性11例)を対象とした。(結果)特発性の縦隔内限局型2例は保存的治療を,胸腔内穿破型2例は手術療法を行った。食道アカラシアおよび食道狭窄のバルーン拡張術,内視鏡的逆行性胆管膵管造影用の内視鏡ファイバー,咽頭部通過用のガイドチューブ,食道癌に対する粘膜剥離術など内視鏡関連の医原性穿孔は9例で,全例保存的治療で軽快した。一方,胸部大動脈瘤ステント留置に伴う食道穿孔2例は,胸腔内穿破型で手術療法を行ったが,1例は縦隔炎から敗血症で死亡した。(結語)特発性,医原性を問わず縦隔内限局型は,適確なドレナージを行えば治癒率は良好であったが,胸腔内穿破型は,診断治療法が進歩した今日では,特発性・医原性に沿った治療方針の再検討が必要であると考えられた。