2015 年 35 巻 1 号 p. 085-088
症例は80歳,男性。マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma;以下,MCL)の診断でR-CHOP療法により,寛解となり経過観察中であった。3年後に腹痛と嘔吐を主訴に救急搬送され,回盲部腸重積の診断を得て緊急手術を行った。回腸回腸結腸型の重積をきたしており,その他の小腸にも散在性に腫瘍性病変を触知した。MCLの再発によりmultiple lymphomatous polyposis(以下,MLP)を呈し腸重積をきたしたと考えられた。上行結腸への重積は用手的に解除可能であったが回腸回腸重積は解除できず,回盲部切除を施行した。病理検査の結果,MCLの再発と診断した。MCLはリンパ節原発例が多いが,節外臓器浸潤も高頻度で,消化管に浸潤する場合MLPを呈することが多い。MCLの既往のある腸重積症例においては,MLPを含む消化管再発を念頭に置き,治療法の選択を行う必要があると考えられた。