日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
鈍的多発外傷に合併した胆石を伴う胆囊破裂の1例
野坂 涼子山野 修平猪熊 孝実泉野 浩生井上 悠介三島 壯太虎島 泰洋藤田 文彦金高 賢悟高槻 光寿黒木 保江口 晋田崎 修
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2015 年 35 巻 1 号 p. 115-118

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抄録

胆囊は解剖学的に外力による損傷を受けにくく,鈍的外傷による胆囊破裂は比較的まれである。今回われわれは鈍的多発外傷に合併した胆石を伴う胆囊破裂の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は64歳,女性。駐車場内で徐行中の乗用車と接触転倒し,足側から腹部へ乗り上げられ,ショック状態で当院へ搬送された。来院時ショック状態でFASTではMorrison窩・脾周囲にecho free spaceを認めた。腹部造影CT検査で肝左葉の損傷と多量の血性腹水を認め,胆囊壁は不整で胆囊内外に胆石を複数個認めた。CT検査後,FASTでecho free spaceの増大を認め,CTで肝損傷と門脈損傷の疑いもあったため緊急開腹手術を施行した。肝S2・S3にⅢb型損傷と肝S4Ⅰb型損傷,胆囊破裂があり,腹腔内への胆石の撒布を認めた。肝外側区域切除・胆囊摘出術を施行した。入院経過中に腹部の術後合併症はなく転院となった。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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