日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
N-butyl-2-cyanoacrylateを用いたTAEが有効であった十二指腸潰瘍を伴う膵頭部動静脈奇形の1例
島田 翔士石田 文生木田 裕之日高 英二藤澤 英文松成 一矢工藤 進英
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2015 年 35 巻 4 号 p. 519-523

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抄録
症例は53歳,男性,タール便を主訴に受診した。上部消化管内視鏡検査でVater乳頭口側に潰瘍を認めた。腹部造影CT検査では膵頭部に動脈早期相で網状血管増生を認め,早期に門脈~上腸間膜静脈が強く描出された。以上より膵動静脈奇形と診断し,液体塞栓物質であるn-butyl-2-cyanoacrylate(以下,NBCA):リピオドール=1:3の混合液を用いTAEを施行した。TAE後膵動静脈奇形は退縮し,術後3年4ヵ月が経過し,再発を認めていない。膵動静脈奇形は比較的まれな疾患ではあるが急性膵炎,消化管出血をきたすことがあり臨床上重要である。今回われわれは,十二指腸潰瘍を伴う膵動静脈奇形に対してNBCAを用い経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を施行し有効であった1例を経験したので報告する。
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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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