日本腹部救急医学会雑誌
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原著
閉塞性直腸癌に対する術前化学療法を含めた集学的治療戦略
長谷部 達也小山 基諸橋 一坂本 義之村田 暁彦袴田 健一
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2015 年 35 巻 5 号 p. 529-535

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抄録

閉塞性直腸癌に対する術前化学療法(以下,NAC)による集学的な治療戦略の妥当性を検証する。2000~2012年の閉塞性直腸癌55例を対象として,NACを行った15例(NAC群)と行わなかった40例(非NAC群)の治療成績を比較検討した。NACのレジメンはL-OHPが93%の症例に投与され,86%に抗VEGF抗体が併用された。NACの奏功率は73.4%で,PDとなった症例はなく,抗腫瘍効果によりNAC群で有意に腫瘍径が小さくN0が多かった。NAC群では全例にR0手術が行われ,TPEを行った症例はなかった。術後合併症や再手術率は両群間で有意差を認めなかった。3年局所無増悪生存期間,3年無増悪生存期間,3年生存率に有意な差はなかったが,いずれもNAC群が良い傾向にあった。閉塞性直腸癌に対するNACは高いdown staging効果が期待でき,周術期の安全性は非NAC群と同等の結果が得られた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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