日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
傍ストーマヘルニア陥頓に対し小腸切除とメッシュ留置を一期的に施行した1例
佐藤 護高山 亘原田 和明
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2015 年 35 巻 5 号 p. 629-633

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抄録

症例は74歳,女性。23年前に直腸癌のため腹会陰式直腸切断術を施行,以後定期的な通院は終診となっていたが,左下腹部痛と嘔吐を主訴に当科を受診。身体所見ではストーマ外側に成人手挙大の腫脹を認め,腹部造影CTで傍ストーマヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断し緊急手術となった。約40cmにわたる小腸が壊死に陥っており腸切除を要したが,術野の汚染を可及的に避けてヘルニア門をメッシュにより修復補強した。術後は感染徴候などを含め合併症なく経過良好であった。傍ストーマヘルニア嵌頓はまれであるが,腸切除を要する症例に対して,感染が懸念され敬遠される傾向にあるメッシュによる修復術を一期的に施行し良好な経過であった。感染に十分注意することで,腸切除を行った場合でもメッシュを使用することができると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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