2015 年 35 巻 5 号 p. 667-670
症例は87歳の男性,自宅で転倒し意識障害を呈し救急搬送された。腹部造影CTにて肝S6/7に腫瘍性病変を認め,同部からのextravasationを認めた。右肋骨骨折を認め,病歴と併せて外傷性肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:以下,HCC)破裂と診断した。Transcatheter arterial embolization(以下,TAE)による止血を試みたが高度の動脈硬化のために不可能であったため,ガーゼパッキングによるdamage control surgery(以下,DCS)を行った。術後4日目に再手術を施行したが腫瘍からの出血は完全に制御されていた。外傷性HCC破裂はまれな症例であり,文献的考察を加えて報告する。