50歳代，男性。3日前から嘔気，腹痛が出現，持続するため当院の救急外来を受診した。腹部造影CTで左下腹部にtarget signを認め，腸重積症の診断で入院した。胸部CTで右肺尖部に直径7cm大の腫瘤像を認めた。入院後2日目に開腹手術施行した。術中所見はTreitz靭帯より約90cmの空腸に重積を認め，Hutchinson手技で整復すると先進部に約4cmの腫瘍が認められ，小腸部分切除を施行した。病理組織学的には粘膜下層を中心に腫大した核を有する異型細胞の増殖を認めた。免疫組織検査でTTF-1（−），PE10（−），CK7（＋）/CK20（−）で肺癌の小腸転移を最も考えた。術後に右上肢の麻痺，発語障害，けいれんを認め頭部CT，MRIを行った。右前頭葉・左後頭葉の2カ所に転移を認め，放射線治療を施行した。脳転移の増悪を認め，術後85日目に死亡した。
