日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
右鼠径ヘルニアに起因した続発性大網捻転症の1例
中島 幸一佐竹 信祐山崎 良定
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2016 年 36 巻 3 号 p. 687-690

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抄録

症例は41歳,男性。右下腹部痛を主訴に受診。右下腹部圧痛,右鼠径部の軽度膨隆,右陰囊腫大と血液検査で炎症反応の上昇を認めた。腹部CT検査では臍部に渦巻状の層状構造の軟部影が右下腹部にかけ血管拡張と濃度上昇を伴う脂肪濃度の構造となり,それに連続する右鼠径ヘルニアを認めた。右鼠径ヘルニア,大網嵌頓による続発性大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した。手術所見は外鼠径ヘルニアで,大網は既に還納されていた。臍部直下で大網が1回転半捻転し末梢側が絞扼されているのを確認し,捻転部中枢側で大網を切離した。鼠径ヘルニアはダイレクトクーゲル法で修復術を施行した。術後経過は良好で,術後6日目に軽快退院した。鼠径ヘルニアに起因した続発性大網捻転症の本邦報告例39例について検討し,考察を加え報告した。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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