2016 年 36 巻 4 号 p. 717-721
大腸癌穿孔は重篤な疾患であるが,救命の重視とともに長期予後の観点から治療方針を決める必要がある。当科で2000年1月から2013年12月に手術を施行した大腸癌穿孔21症例を対象に検討を行った。平均年齢76歳(50~100歳),穿孔部位は癌部口側9例,癌部12例で,遊離穿孔による腹膜炎症例は12例,進行度はstage Ⅱ/Ⅲ/Ⅳが7/9/5例であった。手術は,Hartmann手術9例,切除吻合9例,人工肛門造設3例であり,D2以上のリンパ節郭清を15例に施行した。周術期死亡率は4.8%,周術期合併症率は47.6%,他病死を除くdisease-specific survival rate(5年)は75%であった。再発症例をstage Ⅲの4例に認め,再発部位は肝・腹膜,肝・肺,腹膜,肝・肺・骨であった。治癒切除にて長期予後を期待できる可能性は十分あり,全身状態が許せば根治切除を目指すべきと考えられた。