日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
盲腸リンパ管腫を先進部とした成人腸重積症の1例
太白 健一小泉 大高橋 大二郎丸山 博行
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 36 巻 4 号 p. 803-806

詳細
抄録

症例は35歳の男性。突然の間欠的腹痛で発症し,当院救急外来を受診した。心窩部から右下腹部にかけての腹痛と右下腹部の反跳痛,軽度の炎症反応の上昇,腹部造影CT検査で上行結腸に腫瘤性病変とターゲットサインを認めた。以上より腫瘍を先進部とした腸重積症と診断し,緊急手術を施行した。術中所見では,回腸―結腸型の腸重積を認めた。Hutchinson手技で整復すると,先進部の盲腸に腫瘤を触知したため,大腸癌に準じて回盲部切除術(D2郭清)を施行した。術後経過は良好で,第9病日に退院した。術後の病理組織学検査で腫瘍は盲腸リンパ管腫と診断した。成人腸重積症は,腸重積症全体の5%と比較的まれであり,消化管リンパ管腫はリンパ管腫全体の0.1%以下と極めてまれな疾患である。今回,盲腸リンパ管腫が先進部となり成人腸重積症を発症した極めてまれな1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top