2016 年 36 巻 6 号 p. 1013-1019
保存的治療後のinterval appendectomyの概念が広がりつつあるが,その手術適応やタイミングについては主観的判断の要素も含まれ議論の余地は多い。当科での待機的腹腔鏡下虫垂切除術(laparoscopic interval appendectomy: LIA)の臨床所見と周術期成績を準緊急的腹腔鏡下虫垂切除術(laparoscopic emergency appendectomy: LEA)と後方視的に比較した。その上でLIA選択のための客観的判断基準として,入院翌日の白血球数,CRP値,CT所見での膿瘍の程度,小腸拡張の有無,腹水の程度を用いた重症度スコア(IAスコア)を構築した。IAスコアを用いたLIAとLEAの分別能は感度91.9%,特異度90.9%であり,4点以下は保存加療が可能でLIA適応あり,5点以上はLEAを念頭に置いた入院管理を行う必要がある。