日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:腹部外傷における腹腔内出血コントロール―Interventional RadiologyとDamage Control Surgeryの適応の限界―
鈍的肝損傷に対するCT所見から見た経カテーテル的動脈塞栓術の適応と限界
船曵 知弘折田 智彦佐藤 智洋北野 光秀
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2016 年 36 巻 6 号 p. 1053-1059

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抄録

【背景】腹部鈍的外傷患者におけるCTや経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)の有用性の報告は多い。【目的】CTを加味した日本外傷学会分類から治療方針の考え方,TAEの適応と限界を調査する。【方法】5年間にCTで肝損傷と診断した症例を抽出し,日本外傷学会分類2008に血管外漏出像(extra)を加味し,初期の治療方針とその成功率を検討した。【結果】肝損傷は50例,TAEも行わない非手術的治療を選択したのは33例で,いずれも追加治療は必要なかった。TAEは14例で,2例は腹部コンパートメント症候群(ACS)のために開腹手術(OM)を行った。1例は循環動態の改善がないためにOMを行った。計画的にOMとTAEとの両者を併用したのは2例であった。【考察】TAEの適応はCTでのextraであるが,循環動態によって治療方針を転換する,ACSの出現によって追加治療(OM)を施行する判断を遅延させてはならない。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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