日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
異なる部位で出血を繰り返した特発性腸間膜血腫の1例
渡邊 裕策古谷 圭友近 忍的場 勝弘
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キーワード: 特発性腸間膜血腫, 再発
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2016 年 36 巻 6 号 p. 1073-1076

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抄録

要旨:症例は61歳の男性で,腹痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診し,診察中に突然ショック状態となった。CTで腹腔内出血が疑われ,緊急開腹手術を施行した。腹腔内に大量の血液と小腸間膜内の破裂した血腫を認め,血腫のある腸間膜とその領域の空腸を切除した。術後約30時間後に再度ショック症状が出現し,CTで術後出血を疑い再開腹を行った。前回手術時異常のなかった下行結腸間膜内に血腫を形成しており,血腫の拡がる腸間膜とともに結腸左半切除術を施行した。本症例は外傷や出血性疾患,抗血栓薬服用など出血原因となりえる背景が認められず特発性の腸間膜血腫と診断した。特発性腸間膜血腫は原因不明のまれな疾患であるが,過去に再発をきたした報告はない。今回われわれは連日にわたり異なる部位より出血を繰り返した特発性腸間膜血腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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